テクノロジーは貧困を救えないのかー。

ブログの更新遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。FREE Project.の草田です。
FREE Project.は2017年の10月に渋谷のパナソニックが運営する100BANCH(

http://100banch.com/projects/free-project/)という施設にて始めたプロジェクトで、3月までそこで活動させて頂く事になっています。

今日はずっと書きたくて書けなかったある本の紹介をしたいと思います。

”テクノロジーは貧困を救わない”

f:id:kusamochiayaka:20180120154515j:plain

この本、とある先輩に紹介して頂いて年末年始読んでいました。

題名がインパクトありますよね。

最近、どの業界を見てもテクノロジーとの掛け合わせでイノベーションが起こるとされていて、edtech,Fintech,agritech...などなど の用語があるくらいテクノロジーの可能性が社会で取り上げられているのに、なぜ...?と。

ここでは
テクノロジーは人間の意志によって初めて役立てられるのであり、人間の能力を増進する「増幅の原則」があると説明しています。

例えばSNSの普及によってアラブの春が起きたと言われていますが、社会が自由になろうと動きが起きたのはSNSではなく、根本に民主化しようという個々人の思いと市民社会にその土壌があったからであって、その思いをテクノロジーが増幅させた訳ではないという事です。
同じ様に貧困の子供達に教育の機会的今日のためのテクノロジーを付与しても
それを使う意義や、スキルがなければ貧困を救う事には繋がらず、全くの無駄な投資と援助になってしまうのです。

f:id:kusamochiayaka:20180120144410p:plain

様々な社会の問題があり、複雑化してきている中、私たちは介入パッケージに過度な期待をします。(ここでの介入パッケージとはテクノロジーの他に選挙・法・政策・ワクチン・マイクロクレジットetc...)そしてどの様な効果が出るのか測定しようとします。その成果に基づいて予算が付くからです。


さらに、実施者は受益者がそのパッケージを”うまく使いこなしてくれる”高い能力 と”使いこなそう”という前向きな意志を期待します。

その結果、受益者にとっての幸福や課題の解決方法を見誤り、無駄な支援を組み立ててしまいかねない事になるのです。
社会課題が深刻であればあるほど、この受益者の上記の能力が低いと言いいます。

では、そもそもその様な能力が高い組織や人はどんな要素を持っているのでしょうか?

本書では三つ取り上げています。

心・・・未来の自分のために、人生を良くしたいという強い意図がある事。

知・・・自分の置かれた状況を理解し、人やチャンスに適切で慎重な判断ができる事。
意志・・・自分の意図する事に向けて最善の自制心を持つ事。

なるほど...と思いました。わかりやすい例で言うと、
ダイエットして綺麗になりたいと思った時(心)に、この脂っこいものは食べてはいけないという適切な判断力を持ち(知)、揚げ物を食べることを我慢する(意志)ことですよね笑

この全体のスキルをあげることを内面的成長と著者は呼んでいます。
介入パッケージが重要ではないと言っているのではなく、内面的成長こそが制御不能な究極の大義である、と。

更にこの内面的成長を考えるに当たって願望に着目しています。
マズローの欲求を踏まえて、最高峰が自己超越的な他者志向になる。
国の近代化に伴って願望の段階は異なるものの、その願望が満たされること=発展ではなく、その願望が進化していくこと=発展なのです

そしてその進化は個人と社会の間で補強され合います。
その補強し、される関係にあるメンターがどこにおいても必要であると書かれています。


但し、その関係性は自由意志に基づいた選択がされていること・行動計画や取り組みの条件は被助言者が決めることが重要であると忠告されています。

親子関係を考えようとしている私にとってこの本の文脈で書かれている内面的成長の話、そしてその為に必要なメンターの存在。
一つ一つがずっしりと重く、響いてきました。

私たちにはどんな発展が必要なのか、どこに向かうべきなのかを、きちんと考えていく必要がある。その為には介入パッケージだけを見るのではなく、その奥深くにある大事な人間の内面的成長をこそ見ていかないといけない...と思わされました。 

ではまたー。とあえず、試験です。